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夏の暑さ対策と熱中症予防 - 東洋医学的夏バテ解消法

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2025-07-31
夏の暑さ対策と熱中症予防 - 東洋医学的夏バテ解消法

夏の暑さ対策と熱中症予防 - 東洋医学的夏バテ解消法

夏は陽気(ようき)が最も盛んな季節ですが、同時に体に大きな負担をかける時期でもあります。東洋医学では、夏の暑さは「暑邪(しょじゃ)」や「湿邪(しつじゃ)」として体に悪影響を与えると考えられています。今回は、あなたの体質に合わせた夏の養生法と、熱中症予防について詳しく解説し、健やかに夏を乗り切るためのヒントをお届けします。

東洋医学から見た夏の特徴

夏は気温が上昇し、湿度も高くなるため、私たちの体は知らず知らずのうちに影響を受けています。

夏の邪気

  • 暑邪(しょじゃ):高温による体への害 暑邪は、文字通り「暑さの邪気」です。高温にさらされることで、私たちの体は体温調節機能が乱れ、発汗が過剰になり体液(津液:しんえき)が不足しやすくなります。これにより、脱水症状や意識障害といった熱中症の症状 を引き起こすだけでなく、心臓(東洋医学の「心」は精神活動も司る)への負担も増加させ、イライラ や不眠 といった精神的な不調にもつながることがあります。

  • 湿邪(しつじゃ):高湿度による体への害 湿邪は「湿気の邪気」を指し、重く、粘り気があり、停滞しやすい という特徴があります。湿邪が体に侵入すると、消化機能(脾胃:ひい)の低下 を招き、食欲不振 や悪心 を引き起こしやすくなります。また、むくみ全身のだるさ、重さ といった症状も現れやすくなります。

夏に起こりやすい不調

これらの邪気の影響で、夏には以下のような不調を感じやすくなります。

  • 夏バテ症状

    • 食欲不振
    • 全身倦怠感
    • 睡眠不足
    • 集中力低下
    • イライラ
  • 熱中症

    • 体温調節機能の破綻
    • 脱水症状
    • 意識障害
    • 生命に関わる危険性

あなたの体質別夏の養生法

東洋医学では、個人の体質に合わせて養生法を考えることが重要です。夏の不調を乗り切るために、あなたの体質に合ったケアを取り入れましょう。

1. 陽虚(ようきょ)体質の方

特徴: 東洋医学では、体を温めるエネルギーである「陽気」が不足している状態と考えられます。

  • 冷房に弱く、寒がり
  • 冷たい物を摂りすぎる傾向がある
  • 下痢しやすい(泥状便や水様便)
  • 疲れやすく、元気がない
  • 手足が冷えやすい

養生法: 体を温め、陽気を補うことを重視します。

  • 温度管理:
    • 冷房の設定温度は26-28度を目安に、直接冷風に当たらないようにしましょう。
    • 薄手の上着を常備し、足元を冷やさない工夫を。
  • 食事:
    • 冷たい飲食物の摂りすぎに注意し、温かいスープや味噌汁 を積極的に摂りましょう。
    • 生姜やネギ、シナモンなど、体を温める性質のある温性食材 を活用しましょう。
    • 水分補給は常温の飲み物や温かいお茶 を心がけましょう。
  • 運動:
    • 激しい運動は避け、朝の涼しい時間帯に軽い運動や室内でのストレッチを行いましょう。冷房の効いた場所での運動は避け、体を冷やさないように気をつけます。

2. 陰虚(いんきょ)体質の方

特徴: 東洋医学では、体の潤いや冷やす機能(陰液:いんえき)が不足し、相対的に熱(虚熱:きょねつ)がこもりやすい状態と考えられます。

  • のぼせやすい、顔がほてる
  • 口が渇きやすい、咽(のど)の乾燥感がある
  • 寝汗(盗汗:とうかん)をかく
  • イライラしやすい、焦燥感がある
  • 手足のひらや胸に熱感(五心煩熱:ごしんはんねつ)がある
  • 不眠、眠りが浅い

養生法: 体の潤いを補い、余分な熱を冷ますことを重視します。

  • 体を冷やす工夫:
    • 適度に冷房を活用し、涼しい環境を保ちます。
    • 冷たいタオルで首元を冷やすなど、局所的な冷却も効果的です。
    • 涼しい服装を心がけ、日中の外出時は日陰を選んで歩くようにしましょう。
  • 食事:
    • 体を潤し、熱を冷ます性質のある食材(キュウリ、トマト、スイカ、緑豆、梨など)を適度に摂取しましょう。
    • 水分補給は、緑茶や麦茶 などでこまめに行います。
    • 辛い物や刺激の強いもの、脂っこいもの は、熱を助長するため控えめに。
  • 生活習慣:
    • 十分な睡眠時間 を確保し、可能であれば昼寝を15-20分取り入れると良いでしょう。
    • ストレス管理を重視し, 瞑想やヨガなど、リラックスできる時間を作りましょう。

3. 気虚(ききょ)体質の方

特徴: 東洋医学では、生命活動のエネルギーである「気」が不足している状態と考えられます。脾胃(消化吸収を司る臓器)の機能が低下していることが多いです。

  • 暑さに弱く、汗をかきやすい(自汗)
  • 疲れやすい、倦怠感がある
  • 食欲不振、食べてもすぐに満腹になる
  • 息切れ(短気:たんき)、話すのがおっくう(少気懶言:しょうきらんげん)
  • 下腹部に下がる感じ(下墜感:かだかん)がある

養生法: 気を補い、体力を温存することを重視します。

  • 体力温存:
    • 無理な外出や激しい活動は避け、涼しい時間帯に活動するようにしましょう。
    • 適度な休息と十分な睡眠時間 を確保することが重要です。
  • 栄養補給:
    • 消化の良い食事を心がけ、山芋やはちみつ、鶏肉、もち米など、気を補う性質のある食材 を積極的に摂りましょう。
    • 少量ずつ頻回に食事を摂ることで、消化吸収の負担を軽減します。
    • 水分補給は、水だけでなく、お粥やスープ などで、水分と電解質をバランスよく補給しましょう。
  • 運動:
    • 激しい運動は避け、室内での軽いストレッチ、水中ウォーキング、早朝の散歩程度に留めましょう。

4. 湿熱(しつねつ)体質の方

特徴: 東洋医学では、体内に湿気と熱が滞っている状態と考えられます。脾胃(消化吸収を司る臓器)の運化機能が失調し、湿気が熱を持つことで発生します。

  • むくみやすい
  • 肌荒れしやすい、ニキビができやすい
  • 口の中がネバネバする、味が感じにくい
  • 便秘がち、あるいは便が粘り気がある
  • 体全体が重だるい
  • 悪臭のあるおりもの(帯下:たいげ)を伴うことがある
  • 肥満傾向

養生法: 湿気を除去し、熱を冷ますことを重視します。

  • 除湿対策:
    • 除湿器を活用し、室内の湿度を適切に保ちましょう。
    • 通気性の良い服装を心がけ、汗をかいたらすぐに着替えるようにしましょう。
    • 部屋の換気をこまめに行い、湿気がこもらないようにします。
  • 食事:
    • 利尿作用があり、湿を取り除く性質のある食材(小豆、とうもろこし、冬瓜、ハトムギなど)を積極的に摂取しましょう。
    • 脂っこい食べ物、甘いもの、辛い物、アルコール は湿熱を助長するため、控えめにしましょう。
  • 運動:
    • 適度な発汗を促す運動(ウォーキング、ヨガ、ピラティスなど)を行い、体内の湿を排出しましょう。サウナや岩盤浴なども効果的ですが、体質や体調に合わせて無理のない範囲で取り入れ、水分補給を忘れずに行いましょう。

まとめ

夏の養生は、単に体を冷やすだけでなく、あなたの体質に合わせたきめ細やかなケアが鍵となります。東洋医学の知恵を取り入れ、体の内側から整えることで、夏の暑さから体を守り、健やかに、美しく過ごしましょう。ご自身の体質が分からない場合は、専門家にご相談いただくことをおすすめします。